スペースや衛生管理上の理由で同伴拒否が多く報告されているのが飲食店や医療機関です。保健所はこのような施設を管轄する機関でもあることから、補助犬の同伴拒否の解消という大きな役割を求められています。受け入れ側の管轄施設に不安があれば、補助犬ユーザーに伝え、一緒に解決策を考えるという姿勢を持つことが大切であることを啓蒙していきましょう。
補助犬法・同伴受け入れに関する正しい情報提供・啓蒙障害福祉課と協力して医療機関、ホテル、飲食店、理・美容所、劇場等に対し、以下の役割を担っています。
【イラスト】福祉課スタッフと保健所スタッフが手を取り合って連携をし、飲食店等に指導をする
飲食業であれば食品衛生責任者講習など、受け入れ事業者が集まる場を活用して、補助犬同伴についての情報提供や研修実施をするのも効果的です。ツール配布や過去の対応事例の紹介などを行い、管轄施設の理解を得ていくことが必要です。
新規に開店するお店などには補助犬同伴受け入れのリーフレットや補助犬ステッカーの送付、業態ごとの講習会などでは業種別ガイドブックを活用すると便利です。
【イラスト】店舗の入り口に補助犬啓発ステッカーが貼られている。盲導犬、介助犬、聴導犬。
「保健所の指導により」で入店拒否は間違い!
「保健所の指導により動物の立ち入りは禁止されている」という理由で受け入れを拒否されているケースが多いのが実情です。条例には「作業場内(厨房)に動物を入れないこと」と記載してありますが、客席への補助犬の同伴を禁止するものではありません。
【事例】所管部署職員による指導(横浜市)
「衛生上受け入れることはできません」という理由で補助犬同伴の受け入れ拒否をした事業者に対して、障害福祉課だけでなく、所管部署である食品衛生課の担当が、補助犬法などについての説明に出向きました。保健所の所管部署が出向いて説明することにより「衛生上」などの問題が生じないことの周知徹底ができるという効果があります。(出典:身体障害者補助犬の普及・啓発のあり方に関する調査研究(令和 2 年 3 月))
補助犬ユーザーや、受け入れ施設側からの相談・トラブル対応は保健所の各所轄部署と身体障害者補助犬法担当の障害福祉課と連携する必要があります。都道府県等相談窓口の案内や、補助犬の狂犬病予防法に係る手数料の免除など、知識の徹底も必要です。
【イラスト】店の入り口で店員が「犬はダメなんです、保健所の指導で犬は入れないことになっています」と盲導犬ユーザーに言っている。このような対応はしてはいけない。
Q食品工場の見学、同伴は?
食品工場には、白衣や帽子などの着用やエアーシャワー室の通行など特別な対応が必要な区域があるため、見学内容を事前に相談する必要もあるでしょう。しかし、見学者に特別な対応が不要な見学コースの場合、補助犬同伴の受け入れが基本です。
【イラスト】工場見学をする介助犬ユーザー。食品を取り扱う場所はガラスで仕切られている。
【イラスト】盲導犬ユーザーと盲導犬
胴に白、または、黄色のハーネス着用
【イラスト】介助犬ユーザーと介助犬
介助犬の表示の入った胴着着用
【イラスト】聴導犬ユーザーと聴導犬
聴導犬の表示の入った胴着着用
補助犬を同伴しての利用を拒否してはいけません。身体障害者補助犬法・障害者差別解消法で定められています。
実際の受け入れで、他の利用者からの苦情はほとんどありません。苦情の内容は補助犬の問題ではなく従業員の理解不足による対応の不備が多くなっています。
Q . 他の利用者から苦情をうけたことがありますか?
【円グラフ】ショッピングセンター(苦情を受けたことが)ない:83% ホテル(苦情を受けたことが)ない:77% 飲食店(苦情を受けたことが)ない:93% (出典:身体障害者補助犬の普及・啓発のあり方に関する調査研究報告書 令和2年3月)
身体障害者補助犬法には3つの柱があり、訓練事業者には質の高い補助犬の育成と指導、補助犬法に基づいて認定を受けたユーザーには補助犬の健康・衛生管理と周囲に迷惑をかけない行動管理、社会には補助犬同伴の受け入れを義務付けています。
質の高い補助犬の育成
【イラスト】トレーニングしている犬とトレーナー 訓練事業者 ↔ 健康・衛生・行動管理
【イラスト】介助犬ユーザーと介助犬 補助犬とユーザー ↔ 同伴の受け入れ
【イラスト】補助犬ユーザーの周囲を社会の人が取り巻いている 社会
公共交通機関、お店や病院など不特定多数の人が利用する施設などで、補助犬同伴の受け入れをスムーズに行い、身体に障害のある人の自立と社会参加を促進することを目的として定められた法律です。
!一般の人が利用できる施設等への補助犬同伴の受け入れを求めています。
障害のある人もない人も、お互いに、その人らしさを認め合いながら、ともに生きる社会を作ることを目的とした法律。国・地方公共団体・事業者に対して、「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮」の提供を求めています。
!補助犬の同伴を理由に受け入れを拒否することは、不当な差別にあたります。
ユーザーと補助犬のペアで能力が認められて、初めて社会参加が可能に
【イラスト】携帯をユーザーに渡す介助犬
国や自治体による社会の受け入れ義務の啓発
【図】国・自治体→(社会の受け入れ義務(受け入れ努力義務))→公共交通機関・レストラン・民間施設・企業等
補助犬ユーザーには補助犬の健康・衛生管理および行動管理が義務付けられています。
【イラスト】獣医師に診察されている補助犬・衛生管理:ブラッシング、シャンプー、抜け毛予防など
【イラスト】補助犬のブラッシングをするユーザー・行動管理:適切な場所で指示による排泄、咬まない、吠えないなど
【イラスト】ペットシーツの上で排泄する補助犬
補助犬の表示と認定証の携帯はユーザーの義務となっています。
【写真】ハーネスをつけた盲導犬、介助犬とユーザー、介助犬の表示、身体障害者補助犬認定証、盲導犬使用者証、身体障害者補助犬健康管理手帳
!ハーネスや表示の入った胴着が目印 身体障害者補助犬法では、補助犬の表示の義務と、補助犬ユーザーには認定証(盲導犬ユーザーは使用者証)の携帯を義務付けています。補助犬かどうかの確認が必要な場合は、「認定証を確認させていただけますか?」と声をかけましょう。
補助犬が作業に集中できるよう(落ち着いて待機できるよう)、食べ物を与えたりむやみに触ったりするなど、気をひく行為は避けましょう。
お困りの様子が見られたらユーザー本人に「何かお手伝いしましょうか」「どのようにお手伝いすればよろしいですか」などの声かけや筆談でコミュニケーションをとりましょう。
不慣れな場所への誘導【イラスト】盲導犬ユーザーに肘を貸して誘導する様子。
乗り越えられない段差の介助【イラスト】介助犬ユーザーの車いすを押して段差を乗り越える様子
館内放送や電車内のアナウンスの伝達【イラスト】筆談をしながら、口をはっきり開けて聴導犬ユーザーに話しかけている様子。
補助犬ユーザー受け入れガイドブック
管轄施設へのより詳しい情報提供には、各施設のガイドブックをご活用ください。
・医療機関 QRコード
・公共交通機関 QRコード
・飲食店 QRコード
・宿泊施設 QRコード
・複合商業施設 QRコード
・賃貸住宅・分譲マンション QRコード
・保健所 QRコード
身体障害者補助犬法の啓発のためのマークです。身体障害者補助犬とは、盲導犬、介助犬、聴導犬のことを言います。「身体障害者補助犬法」において、公共の施設や交通機関はもちろん、デパートやスーパー、ホテル、レストランなどの民間施設は、身体障害のある人が身体障害者補助犬を同伴するのを受け入れる義務があります。補助犬同伴受け入れに向けた啓発のためのステッカーやハンドブックは、下記、補助犬担当窓口で配布しています。
補助犬に関する関係法令やガイドブックなどのより詳しい情報をお知りになりたい方は、厚生労働省ウェブサイト内「身体障害者補助犬」のページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hojoken/index.html
QRコード
補助犬同伴受け入れでトラブルが起こった場合の報告・相談窓口は、各都道府県・政令指定都市・中核市の障害福祉担当課へご連絡ください。
都道府県身体障害者補助犬法担当窓口一覧
https://www.mhlw.go.jp/content/000465967.pdf
QRコード
事業者用補助犬ユーザーの受け入れ方(日本補助犬情報センター動画)
QRコード