補助犬ユーザー受け入れガイドブック:職場編 “誰もが安心して仕事に従事するために”第1版 (令和5年)


【イラスト】机に座りパソコン作業をする介助犬ユーザー

はじめに  身体障害者補助犬(以下、補助犬)は、障害のある人の生活に大きな役割を果たしています。しかし、補助犬との生活が叶ったとしても、様々な施設等で補助犬の同伴拒否が、しばしば報告されています。残念ながらハローワークの担当者が補助犬の同伴について十分に理解していないことや職場での受け入れ拒否の事例も報告されています。仕事(就労)の場に補助犬を同伴できないことは、補助犬使用者の自立と社会参加が大いに阻害されることになります。法令順守(コンプライアンス)の観点からも、職場において受け入れ拒否をなくすことは急務といえます。補助犬の同伴を受け入れることは、誰もがその人らしい自立した生活を送ることのできる社会につながります。補助犬の同伴拒否に関して、人々の関心は「犬」の受け入れに注目が向きがちですが、実際には、補助犬の同伴を受け入れることは、「犬」の受け入れを求めているのではなく、基本的な「権利」の保障を求めているのです。つまり、補助犬を断ることは障害のある人自身を断ることと同じといえます。障害があることや補助犬を同伴していることが、社会参加の壁になるようなことがあってはなりません。一方、補助犬法は、補助犬ユーザーが補助犬とともに自立した社会参加の実現を推進していくために、犬の適切な管理という義務を補助犬ユーザーに課しています。これにより補助犬ユーザーの一層の社会参加を推進しようという理念があります。職場を含むすべての施設等において、補助犬を必要とする人の権利が保障される社会が望まれます。しかし、その一方で、補助犬ユーザーを受け入れる企業は、「補助犬は安全なのだろうか」「補助犬ユーザー(補助犬)への対応が分からない」「他の従業員の反応が心配」など、多くの不安を抱えているかもしれません。本ガイドブックは、職場における様々な場面を想定した対応例や実例をふまえて、補助犬ユーザーはもちろんのこと、職場にいる他の従業員や職場に出入りするその他の人など、『すべての人が安心して補助犬の同伴を受け入れられる社会の創造』を掲げて作成しました。誰もが安心して利用できる職場づくりに向けて、本ガイドブックを少しでも役立てていただければ幸いです。

【イラスト】聴導犬を抱きしめているユーザーの周りに、高齢者、妊婦、見えない人、子ども、外国人
誰もがその人らしい生活を送ることのできる社会をめざして

内容

はじめに・・・・・1
1.理解すべき理念と法令順守(コンプライアンス)の推進・・・・・5
1-1.身体障害者補助犬法・・・・・5
1-2.障害者差別解消法・・・・・6
1-3.法令順守(コンプライアンス)を推進する・・・・・7
2.補助犬ユーザーと補助犬・・・・・8
2-1.補助犬ユーザー・・・・・8
(1)盲導犬ユーザー・視覚に障害のある人・・・・・9
(2)介助犬ユーザー・肢体不自由のある人・・・・・9
(3)聴導犬ユーザー・聴覚に障害のある人・・・・・9
2-2.補助犬の役割・・・・・11
2-3.補助犬に関わる認定・・・・・12
2-4.補助犬と社会のかかわり・・・・・16
(1)補助犬ユーザーの日常(例)・・・・・16
(2)補助犬の衛生管理・・・・・18
(3)補助犬ユーザーのフォローアップ(訓練事業者や認定団体との連携)・・・・・19
(4)合同訓練(共同訓練)に向けた長期休暇と補助犬候補犬の受け入れ 19
(5)犬に対する不安(アレルギー/恐怖)のある人への対応・・・・・20
(6)ペットとの見分け方・・・・・21
(7)補助犬以外の役割を持つ犬との区別・・・・・21
(8)新型コロナウイルスによる影響・・・・・22
3.補助犬ユーザーが職場に求めるもの・・・・・23
3-1.設備について・・・・・23
3-2.補助犬に対して・・・・・23
4.職場における補助犬の利用について・・・・・24
4-1.従業員の教育・・・・・25
4-2.様々な場面における受け入れ・・・・・32
(1)全体に共通すること・・・・・32
①盲導犬ユーザー・視覚に障害のある人への対応・・・・・33
②介助犬ユーザー・肢体不自由のある人への対応・・・・・34
③聴導犬ユーザー・聴覚に障害のある人への対応・・・・・37
(2)補助犬の同伴区域・・・・・38
(3)補助犬を同伴できない区域・場面・・・・・39
5.職場への受け入れ事例・・・・・40
5-1.受け入れ事例・受け入れに向けた研修・・・・・40
5-2.問題とその対処・・・・・48
5-3.補助犬ユーザーの経験・声・・・・・50
6.補助犬同伴の受け入れQ&A・・・・・52
参考資料・・・・・54
1.補助犬同伴受け入れを円滑にするためのチェックリスト・・・・・54
2.周知資料(厚生労働省リーフレット「もっと知ってほじょ犬」)・・・・・55
3.従業員の教育資料・・・・・56
4.施設利用者への周知資料(ポスター)・・・・・57
6.身体障害者補助犬法担当窓口・・・・・58
7.団体リスト・・・・・61
8.参考・引用文献・・・・・61
9.関係法令・・・・・62


1.理解すべき理念と法令順守(コンプライアンス)の推進

1-1.身体障害者補助犬法

身体障害者補助犬法(以下、補助犬法)は、補助犬ユーザーの自立と社会参加の促進を目的とした法律です。この目的を果たすために、

①補助犬を訓練する訓練事業者には質の高い補助犬の育成、

②社会には補助犬を同伴した障害のある人の受け入れ、

③補助犬ユーザーには補助犬の衛生・健康・行動の管理

が義務付けられています。②について、政令で定める数(43.5人)以上の労働者を雇用する事業主は、勤務する身体障害者がその事業所又は事務所において補助犬を使用することを拒んではならないこととされています。労働者数の少ない事業所や事務所においても補助犬の使用を拒まないよう努力することが求められています。

この3つの義務により、補助犬ユーザーも安心して社会参加でき、社会も安心して補助犬ユーザーを受け入れられるシステムが構築されています(p. 12)。

質の高い補助犬の育成 【イラスト】トレーニングしている犬とトレーナー 訓練事業者 ↔ 健康・衛生・行動管理 【イラスト】介助犬ユーザーと介助犬 補助犬とユーザー ↔ 同伴の受け入れ 【イラスト】補助犬ユーザーの周囲を社会の人が取り巻いている 社会

1-2.障害者差別解消法

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下、障害者差別解消法)は、障害がある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら、ともに生きる社会を作ることを目的とした法律です。この目的を果たすために、国・地方公共団体・事業者に対して、①「不当な差別的取扱い」の禁止、②「合理的配慮」の提供を求めています。

①「不当な差別的取り扱い」の禁止
国・地方公共団体・事業者が、障害のある人に対して、正当な理由なく、障害のみを理由として差別することを禁止している。例)企業の内定をもらっていたが、補助犬を理由に内定の取り消しがあった。

②「合理的配慮」の提供
国・地方公共団体・事業者に対して、障害のある人から、社会の中にあるバリアを除くために何らかの対応を求められたときに、負担が重すぎない範囲で対応すること(事業者に対しては、対応に努めること)を求めている。例)補助犬ユーザーの勤務中に補助犬が待機できるスペースを補助犬ユーザーの足元に用意した。

〈ポイント!〉
補助犬の同伴拒否は単なる「犬」の拒否ではありません。法律に則り、訓練、認定、管理のなされた「補助犬」を理由に施設等の利用を拒否することは、障害のある人の差別にあたる行為です。これは、身体障害者補助犬法に反するとともに、障害者差別解消法によるところの「不当な差別的取り扱い」に該当するものです。

1-3.法令順守(コンプライアンス)を推進する

(1)補助犬ユーザーの受け入れ拒否=法令順守(コンプライアンス)上の問題 

公共施設、公共交通機関、店舗、医療機関などの不特定多数の人が利用する施設、また一定数※以上の労働者を雇用する事業主は、「補助犬を同伴する障害のある人を拒否してはならない」こと、そして、「勤務する身体障害者がその事業所又は事務所において補助犬を使用することを拒んではならない」ことが、補助犬法で義務付けられています。受け入れ事業者は法令順守(コンプライアンス)を推進していく上で、「補助犬ユーザーの受け入れ拒否をしてはならない」ことを、自らのスタッフ(従業員)はもちろんのこと、職場に出入りする社会の人々に対しても周知することが大切です。※「障害者の雇用の促進等に関する法律」の規定に基づく法定雇用率による

(2)補助犬ユーザーの受け入れ =「法令順守(コンプライアンス)」&「共生社会の実現」

補助犬ユーザーの受け入れは「法令順守(コンプライアンス)」のためだけでなく、「共生社会(障害のある人もない人も分け隔てなく暮らしていくことのできる社会)の実現」につながる大切な行動です。「補助犬ユーザーの受け入れは当然である」という意識が従業員に根付いていることは、従業員一人ひとりが「受け入れのために何ができるか」を考えて行動するための大切な素地となります。


(3)利用客を含めた「受け入れは当然である」という意識の醸成 

補助犬法は、「国民」にも補助犬ユーザーに対し必要な協力をするよう求めています。つまり、国民一人ひとりの協力なくして、補助犬同伴拒否という課題は解決できません。補助犬ユーザーの受け入れに対する受け入れ事業者の毅然とした姿勢は、社会全体に「補助犬ユーザーの受け入れは当然である」という意識を醸成していくことになるでしょう。

 

2.補助犬ユーザーと補助犬

「身体障害者補助犬」(以下、補助犬)と生活する人を補助犬ユーザー(補助犬使用者)と呼びます。補助犬とは、盲導犬、介助犬、聴導犬の総称です。補助犬は、身体障害のある補助犬ユーザーの自立と社会参加に資するものとして、補助犬法に基づき訓練・認定された犬です。
【イラスト】盲導犬とユーザー、介助犬とユーザー、聴導犬とユーザー

2-1.補助犬ユーザー

補助犬ユーザーは、視覚に障害のある盲導犬ユーザー、肢体不自由のある介助犬ユーザー、聴覚に障害のある聴導犬ユーザーです。障害の度合いや症状は人それぞれであり、日々の暮らしやコミュニケーション方法は個々に異なります。
補助犬ユーザーに共通しているのは、障がいの度合いや症状に関わらず、補助犬ユーザーとしての義務(補助犬の衛生・健康・行動管理)を果たせる者であるということです。つまり、このような義務を果たせない人は、補助犬ユーザーとして認定されないのです。視覚障害や肢体不自由があっても、毎日のブラッシングや犬のケア、排泄物の処理をする方法を身に着けています。例えば、手足に障害があり、犬のシャンプーが出来ないという場合でも、定期的にシャンプーに連れて行く、家族や知人にシャンプーしてもらうという計画を立てて、衛生を管理する責任があるのは補助犬ユーザー自身です。
※補助犬の管理は補助犬ユーザー自身が行うため、他の従業員が、補助犬に対して求められる対応は基本的にありませんが、障害の内容によっては、サポートが必要になる場合があります。サポートの内容については、補助犬使用者と相談していただけますと幸いです。 

(1)盲導犬ユーザー・視覚に障害のある人
視覚に障害のある人の見え方は、人それぞれです。全盲の人だけでなく、ある程度、視覚を活用できるロービジョンの人もいます。盲導犬と生活する人も同様であり、全く見えない人だけが、盲導犬と生活しているわけではありません。

<日々の暮らし>

  • 視覚に障害のある人は、障害福祉サービスの利用等によって日常生活訓練を受けることができます。そのため、単独歩行や単身生活を続けることが可能です。
  • 視覚に障害があることで、職場の改修を求めることは基本的にありません。

 

(2)介助犬ユーザー・肢体不自由のある人

肢体不自由のある人は、障害が多岐にわたります。車椅子を使用している人だけでなく、杖を使用している人、杖を使用していない人もいます。下肢だけに障害があり、上肢に障害のない人もいれば、上肢にも障害があり手の筋力が弱い人もいます。

<日々の暮らし>

  • 障害の度合いや症状によって、自立の程度は異なります。
  • 障害の度合いや症状によって、求める設備も異なり、職場の改修が必ずしも求められるということはありません(p.23)。
  • 事業主が障害のある人を雇用するために、施設・設備の整備等を講じた場合、その費用の一部が助成されます。(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度に基づく助成金」)。

 

(3)聴導犬ユーザー・聴覚に障害のある人

聴覚に障害のある人には、音が聞こえない・聞こえづらいというだけではなく、音は聞こえていても音が歪んで聞こえる(何を話しているか聞き取れない)という人もいます。また、補聴器や人工内耳の使用により、ある程度音声を聞き取ることができても、雑音が多い場所では聞き取りづらくなる場合もあります。さらに、中途失聴の場合は、話すことに不自由がないこともあります。

<日々の暮らし>

  • 聴覚に障害のある人は、音の代わりにフラッシュライトやバイブレーション機能の備わった機器を活用するなどの工夫により、安全に生活をしています。例えば、非常ベルをフラッシュライトで知らせるなどです。
  • 聴覚に障害があることで、職場の改修を求めることは基本的にありません。

 

2-2.補助犬の役割

【盲導犬】
視覚に障害のある人の安全な歩行をサポートするために訓練を受けた犬です。障害物をよける、曲がり角や段差を知らせるなど、環境の情報を盲導犬ユーザーに伝えます。盲導犬ユーザーはこの情報を手掛かりに進むべき方向を盲導犬に伝え、目的の場所まで移動します。盲導犬の多くは、ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバー、それらのミックスなどの大型犬です。
【イラスト】のぼり階段を教える盲導犬、犬の足が一段上に上がって知らせている

【介助犬】
手や足等に障害のある人の日常生活動作の一部を介助するよう訓練された犬です。落としたものを拾って渡す、緊急時にスマートフォンを探して持ってくる、ドアの開閉、衣服の着脱、冷蔵庫から飲み物の取り出し、歩行介助、移乗の補助などです。手や足等に障害のある人は、障害が個々に異なるため、介助犬が行う作業もそれぞれ異なります。介助犬は盲導犬と同様に大型犬が主ですが、大型犬ではない介助犬が実働している場合もあります。
【イラスト】携帯電話を渡す介助犬

【聴導犬】
聴覚に障害のある人に必要な音のいくつかを知らせるように訓練を受けた犬です。必要な音は聴導犬ユーザーによって異なります。例えば、室内ではファックスやインターフォン、調理器具の鳴る音、屋外ではクラクションや自転車のベル、名前を呼ぶ声、火災報知器などがあります。また、聴覚に障害のある人は、周りの人に障害があることを認識してもらいにくいことがありますが、聴導犬の存在により、周りの人に聴覚に障害があることを理解してもらうことができます。それにより緊急時などに他者の支援を受けやすくなるという二次的な効果もあります。聴導犬は小型犬から大型犬まで、様々な大きさ、そして、様々な犬種がいます。
【イラスト】ユーザーの膝にタッチして音を知らせる聴導犬 

2-3.補助犬に関わる認定

社会の人々が補助犬を安心して受け入れられるよう、補助犬の安全と安心は多面的に守られています。以下は、補助犬の安全と安心がどのように担保されているかを説明するものです。
ポイント!犬も人も審査・認定されています
【イラスト】介助犬がユーザーに携帯電話を渡している。犬からのふきだし:社会で他人に迷惑をおよぼさない、その他適切な行動をとることができる ユーザーからのふきだし:補助犬の衛生・健康・行動を適切に管理できる 犬とユーザーからのやじるし:認定、補助犬とユーザーの能力が認められて初めて補助犬と補助犬ユーザーとして、補助犬法に基づいて、補助犬を同伴した社会参加が可能となる

【書類の携帯の義務】

補助犬ユーザーは、A. 身体障害者補助犬認定証(盲導犬使用者証)とB.身体障害者補助犬健康管理手帳を所持し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければなりません(p.13,14参照)。これらは、厚生労働省令で定められた書類であり、補助犬が法律に基づいて訓練・認定され、補助犬が公衆衛生上の危害を生じさせるおそれがない旨を明示するものです。

【表示の義務】
補助犬には、補助犬であることを記す表示を補助犬の胴体に見やすいようにつけなければなりません(p.15参照)。この表示により、ペットと一目で区別することができます。また、補助犬が何らかの問題を起こした際には、その表示に記載されている補助犬の認定を行った指定法人に連絡することが可能です。

A. 身体障害者補助犬認定証(盲導犬使用者証)

【身体障害者補助犬認定証(写真提供:社会福祉法人日本介助犬協会)】身体障害者補助犬認定証(○○犬)、ユーザーと犬の写真、使用者名、性別、生年月日、使用者の住所および連絡先、犬の名前、性別、生年月日、犬種、毛色、毛質、狂犬病予防法に基づく登録番号、認定番号、認定年月日、指定法人名、指定法人の代表者名、指定法人の住所及び連絡先、訓練事業者名、訓練事業者の代表者名、訓練事業者の住所及び連絡先

【盲導犬使用者証 (写真提供:公益財団法人日本盲導犬協会)】

盲導犬使用者証、ユーザーと盲導犬の写真、氏名、犬名、登録番号、認定日、ユーザーの氏名・性別・住所・電話番号・生年月日・手帳番号、犬名・性別・犬種・色・生年月日、認定者の事業者名・住所・電話番号

ポイント!
補助犬の同伴を受け入れる際に、書類の提示を求めることは失礼に当たりません。書類を提示できない場合、国が指定した補助犬の法人以外の組織が独自に発行した証明書を提示された場合は、法令上、受け入れの義務はありません。

B. 身体障害者補助犬健康管理手帳
【身体障害者補助犬健康管理手帳】身体障害者補助犬法第12条第2項で定める書類、補助犬使用年月日、獣医師による健康管理記録、予防接種・健康管理等の記録、犬の名前・性別・犬種・生年月日・狂犬病予防法に基づく登録番号・毛色・毛質・使用者の名前・マイクロチップ番号

C. 補助犬の表示

【1.表示例(介助犬)】

介助犬が着ているケープの背中ポケットに入っている。介助犬、認定番号、認定年月日、犬種、認定を行った指定法人の名称、指定法人の住所及び連絡先(写真提供:日本介助犬協会)

【2.表示例(盲導犬)/ハーネスの形/ハーネスバック】

バーハンドルとU字ハンドルがある。ハーネスバッグには介助犬と同様の表示が書かれている表示が入っている。(写真提供:公益財団法人日本盲導犬協会)

2-4.補助犬と社会のかかわり

(1)補助犬ユーザーの日常(例)

補助犬ユーザーは、毎日のルーチンとして、ほぼ決められた時間に犬の排泄や給餌をします。補助犬が摂取する食べ物や水の量も細かく管理しています。これは、犬の健康はもちろんのこと、適切な時間と場所で補助犬ユーザーの指示により排泄を管理するためでもあります。また犬のブラッシングや体のケアも怠りません。このように、補助犬ユーザーは、いつも補助犬の健康や行動を意識して日常生活を送っています。

時間、補助犬の行動、補助犬ユーザーの行動

6時、補助犬ユーザーの指示による排泄、補助犬の世話
【イラスト】ペットシーツの上で排泄する補助犬

6時~、犬の散歩(運動)、家事、身支度
【イラスト】公園で遊ぶ補助犬

6時~、ブラッシング(体を綺麗に保つ)
【イラスト】ユーザーにブラッシングしてもらう補助犬

6時~、朝の給餌、朝食
【イラスト】フードを食べる補助犬

9時~、リラックス(決められた場所で休息)、通勤(※1)・仕事
【イラスト】机に向かって仕事をするユーザー、補助犬は足元で待機している

10時・14時、補助犬ユーザーの指示による排泄

9時~18時、リラックス(決められた場所で休息)、仕事

18時~、補助犬ユーザーの指示による排泄、帰宅・懇親会等への参加(※2)

18時~、夕方の給餌 家事

18時~、体のケア 夕食
【イラスト】歯磨きをしてもらう補助犬

22時~、補助犬ユーザーの指示による排泄

22時~、就寝、就寝
【イラスト】眠っている補助犬

※1 合同(共同)訓練では、通常、通勤経路の確認も行われます。また、電車やバスなどの公共交通機関の安全な利用の仕方についても訓練を受けていますので安心です。補助犬を使用して安全に通勤するために、道路事情、交通状況等を考慮して経路が選択されています。例えば、交通量の多い大きな通りの横断を避けるために勤務先の最寄の駅やバス停を利用せずに遠回りする場合などがあることにご理解をお願いします。
※2 補助犬ユーザーが補助犬同伴であることを理由として日常生活での受け入れ拒否や行動制限を受けることは法令上は原則ありません【法令順守(コンプライアンス)を参照】。職場の仲間として、就労に付随する会社行事への参画についても声をかけて本人の意向を確認する配慮が望まれます。(事例6参照(p. 51))

(2)補助犬の衛生管理

職場で安心して補助犬ユーザーを受け入れる上で、大切なことは犬の健康と衛生状態、さらに行動の管理です。犬は感染症に関する予防・管理方法が確立している動物です。さらに、適切に訓練され、行動を管理されている補助犬は、感染症のリスクを高める行動をとることはありません。

1.健康管理 狂犬病予防接種、混合ワクチン接種、外部・内部寄生虫駆除、定期健康診断
【イラスト】獣医師に診察されている補助犬

2.衛生管理 定期的なシャンプー、毎日のブラッシング、歯磨き
【イラスト】補助犬のブラッシングをするユーザー

3.行動管理 咬まない、吠えない、むやみに人や物を舐めない、適切な場所でユーザーの指示により排泄する
【イラスト】ペットシーツの上で排泄する補助犬

(3)補助犬ユーザーのフォローアップ(訓練事業者や認定団体との連携)

法律により、補助犬訓練事業者や補助犬を認定した指定法人(認定団体)は、補助犬を補助犬ユーザーに貸与した後も、定期的なフォローアップが求められています。そのため、補助犬に関わる何らかの問題があった場合は、訓練事業者と連携して対処していくことになります。

(4)合同訓練(共同訓練)に向けた長期休暇と補助犬候補犬の受け入れ

既に雇用されている従業員が、新たに補助犬を迎える場合、合同訓練(共同訓練)が行われます。合同訓練(共同訓練)とは、認定を受ける前に行う、補助犬を伴って実際に日常生活を送るための訓練で、訓練には基本的に訓練士が同伴します。合同(共同)訓練のために補助犬との訓練に1か月ほど要する場合もあります。合同訓練(共同訓練)のために休暇の申し出があった際には、柔軟な対応にご配慮をお願いします。また、通常、合同訓練(共同訓練)は職場でも行われる場合があります。この段階は、訓練の最終段階であり、補助犬に求められる基礎的な訓練は完了しています。この状態の犬はまだ認定前であるため、正式には補助犬と補助犬ユーザーとしては認められていません。ただし、この時期の訓練は訓練事業者が補助犬ユーザーの指導を行っています。合同訓練(共同訓練)の開始前に事業主に相談があった段階で、状況を確認し、訓練事業者や認定団体とも連携して、訓練最終段階の職場での訓練に臨む補助犬候補犬を受け入られると良いでしょう。

(5)犬に対する不安(アレルギー/恐怖)のある人への対応

補助犬同伴の拒否事例として、「犬アレルギーがある(犬が怖い)従業員がいるかもしれない」といわれることがあります。犬アレルギーの原因はおもにフケと唾液ということが分かっています。そのため、補助犬は、特にフケや唾液のついた毛の飛散が少なくなるように、補助犬ユーザーがこまめに衛生管理をし、周囲に迷惑をかけないように気をつけています。しかしながら、アレルギーのある人にとっては犬が清潔か否かにかかわらず、犬の存在そのものが精神的に負担となることが考えられます。そのため、補助犬ユーザーも、アレルギーがある人への配慮としてアレルギー症状の心配がないように、可能な限りそばに近づかないようにと考えています。犬アレルギーのある従業員がいた場合、補助犬ユーザーと犬アレルギーがある人が近くで接することがないよう、座席の配置や空間の使い方への工夫について事前に話し合うことが出来れば、双方が安心して就労することができるでしょう。
【イラスト】盲導犬、介助犬、聴導犬

  • 施設の設備や物をむやみに舐めたり、咥えたりしないように訓練および管理されているため、唾液が人につく心配はありません。
  • お薬の投与により、ノミ・ダニが体につかないよう健康管理が徹底されています。
  • 配慮としてマナーコートや大きなケープを着せることもあります。
  • 毎日のブラッシングと定期的なシャンプーを行っており、毛にホコリが溜まっていたり、毛が舞うようなことのないよう管理されています。

犬が怖い人に対しても、対応はアレルギーのある人と同様です。「怖い」という感情は自然に湧いてくるものですし、補助犬ユーザーにとっても心配ですので、空間の使い方を工夫することが大切です。

(6)ペットとの見分け方

補助犬と補助犬ユーザーは、一般のペットと飼い主とは異なります。補助犬は、胴体の見やすいところにp. 15のような表示をつけることが義務付けられています。また、盲導犬は白または黄色のハーネス(胴輪, p.15)をつけていることで、見分けることもできます。

(7)補助犬以外の役割を持つ犬との区別

社会で働く犬の中には、補助犬の他に病院や高齢者施設で働くセラピー犬などもいます。また、海外では、日本の身体障害者補助犬法のもとでは補助犬として認められていない種類の犬(サービスドッグまたはアシスタンスドッグ)が、障害のある人のサポートをしている例があります(精神障害、情緒障害、アレルギー障害など)。しかし、これらはいずれも身体障害者補助犬法における補助犬には含まれず、施設等の利用においては「ペット」と同様に扱われます。しつけが行き届いた犬であっても、法律上は同伴が認められた犬ではないため、補助犬と混同しないよう注意が必要です。

(8)新型コロナウイルスによる影響

2019年に発生した新型コロナウイルス感染症は、補助犬ユーザーの生活にも大きな影響を与えています。
犬の新型コロナウイルスへの感染も報告されていますが、その症例は人と比べると極めてわずかです(アメリカ国内での犬への感染数は合計16例(2021年2月時点:米農水省, 2021*))。現在の知見では、犬が人への新型コロナウイルスの感染源になるリスクは低いと考えられています(米国疾病予防管理センター, 2021**)。また、新型コロナウイルスが犬から人に感染したという事例はありません。これらの情報をふまえて、以下の点にご配慮願います。

  • 補助犬ユーザーは、コロナ禍で他者からの声かけやサポートが減っています。コロナ感染予防に配慮しながらの声かけや援助をお願いします。
  • 感染を心配するあまり、根拠なく補助犬同伴の受け入れを拒まないようお願いします。
  • 基本の感染対策を行い、他の従業員等と同様に補助犬ユーザーの受け入れをお願いします。

* U.S. Department of Agriculture (2021) Cases of SARS-CoV-2 in Animals in the United States.
** Centers for Disease Control and Prevention (2021)COVID-19 Frequently Asked Questions Pets and Animals

3.補助犬ユーザーが職場に求めるもの

3-1.設備について

聴導犬では小型犬が活躍している場合もありますが、盲導犬・介助犬等、補助犬として活躍している犬の多くは、ラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバーのような大型の犬種です。特に大きな犬種を使用することを考えたときに、職場に広いスペースがなければならないという考えを持たれることがありますが、必ずしもそうとは限りません。つまり、補助犬を使用するために、職場を特別に改修しなければならないということはないのです。

一方で、障害のある人の中には、障害に適した設備が職場に整っていることが必要な場合があります。そのため、障害のある方に適した設備になっているのか確認が必要です。例えば、車椅子を使用している介助犬ユーザーは、仕事スペースまでの段差がない、もしくはスロープがあるなどを希望することもあるでしょう。しかし、「2.補助犬ユーザーと補助犬」で説明したとおり、補助犬ユーザーをはじめ、身体に障害のある人は、一人ひとり異なるため、職場で必要となる設備に対するニーズも人それぞれです。補助犬ユーザーや障害のある人を新たに雇用する際に、設備が整っていないから無理と判断するのではなく、どのようなニーズがあるか本人に聞いてみると良いでしょう。障害のある人を雇用する際に、職場の整備等が必要になった場合、障害者雇用納付金制度に基づく助成金を利用することもできます(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度に基づく助成金」)。

3-2.補助犬に対して

職場では、犬に対する不安のある方への対応も必要ですが(p.19)、犬が好きな人に勝手に触られる、名前を呼ばれるなどでユーザーが困るケースも珍しくありません。補助犬の行動や健康はユーザーが管理しているため、ユーザーに断らずに補助犬に声をかける、触る、水や食べ物を与えるなどの行為は控えましょう。

4.職場における補助犬の利用について

「はじめに」に述べたように、補助犬の同伴を受け入れるということは、障害のある人の「権利」を保障することに他なりません。ただ、補助犬ユーザーはむやみに「権利」を主張しているわけではありません。社会で他者に迷惑を及ぼさないよう、補助犬と補助犬ユーザーの両方が審査・認定された上で、身体障害者補助犬法により施設等の利用が認められています。

とはいえ、やはり補助犬も「犬」であることに変わりありません。職場は従業員が長い時間同じ空間で過ごすことに加え、場合によっては従業員以外の人も出入りすることから、補助犬ユーザーをどのように受け入れたら良いのか、不安も大きいかもしれません。本章では、以下の点について説明します。

  • 従業員の教育
  • 様々な場面における補助犬ユーザーへの対応
  • 職場に出入りする他の人への対応

具体的な対応方法や事例を知ることで、多くの不安は取り除くことができるでしょう。
<ポイント!>
不安がある場合は、補助犬ユーザーの雇用をやめる、既に雇用されている従業員による補助犬の利用に反対するのではなく、その不安を就職希望者である補助犬ユーザーや補助犬の使用を検討している従業員に伝えて解決策を一緒に考えるようにします。不安を明確にした上で、お互いが話し合い、円満に解決策を見いだしたケースも多くあります。

4-1.従業員の教育

補助犬ユーザーを雇用する、もしくは、従業員が補助犬を新たに利用することに対して、何も準備をせずに「全く問題なし!いつでもウェルカム」と自信を持って言える事業主や周りの従業員はあまりいないかもしれません。特に、補助犬に関してあまり知識がない、補助犬ユーザーの受け入れについて検討したことがない状態では、いくつもの「不安」が頭をよぎるのではないでしょうか。ここまで説明した必要最低限の情報を事業主と従業員一人ひとりが知ることで、多くの不安を解決できると思います。ここでは、補助犬を使用する従業員を快く迎え入れられるように、必要な体制を整えるための手順を記載しています。体制を構築する際には、参考資料1(p.54)のチェックリストも合わせてご活用ください。

【体制整備の例】(詳細はp.31参照)

  • 関係部署と連携を図ることのできる総務部等の役割が非常に重要です。
  • 例えば、総務部の中で、バリアフリーにかかわる責任者を定め統括することで、職場や施設全体の円滑な情報共有が可能となります。
  • 商業ビルなど複数の企業が利用する施設内に職場がある場合、社外の関係者(例:施設管理会社(ビル所有者)、同施設内の他企業、施設運営スタッフ)に、補助犬ユーザーの受け入れに関する情報を伝達する体制を整えます。

【フローチャート】総務部から各部署長、各部署長から従業員。総務部から施設管理会社、施設管理会社から他企業と施設運営スタッフ。

【必要な知識の習得/職場内の準備】

1.補助犬ユーザーと補助犬の基本情報の把握

  • 補助犬ユーザーの受け入れ、もしくは従業員の補助犬使用開始のための準備に先立ち、バリアフリー責任者として補助犬ユーザーと補助犬に関する正しい情報を身につけます。

2.排泄場所の検討/排泄時間

  • 補助犬ユーザーは定期的に補助犬の排泄をさせます。職場には長時間滞在することになるため、施設内やその周辺に排泄場所があると便利です。
  • 勤務中に複数回排泄をさせることになるため、排泄場所へのアクセスのしやすさや使いやすさ、屋外の場合は悪天候でも利用できることが重要です。
  • 排泄の方法は以下のようにさまざまです。補助犬の排泄場所について、どのような場所が適切か補助犬ユーザーに確認すると良いでしょう。
  • 補助犬の排泄は複数回行われます。排泄処理に多少の時間を要する場合もありますが、従業員の場合と同じく補助犬の排泄時間も就労時間に含めて考えられることが適切です。

排泄の方法(例)

①バリアフリートイレやアスファルトの上などの少し広いスペースにトイレシーツを敷いてその上で排泄させる 
【イラスト】ペットシーツの上で排泄する補助犬

②ワンツーベルトという道具を用いて、排泄物を地面に落とさずにそのまま袋に回収する
【イラスト】腰にワンツーベルトを巻いて排泄する補助犬

③屋外の土の上など迷惑にならない場所で排泄させる※排泄物は袋で回収する、水で流すなどして補助犬ユーザーが始末します。
【イラスト】芝生で排泄する補助犬

【従業員や他の施設関係者への周知と教育】

3.周知する施設関係者の把握 

  • 同じ施設内の他企業の従業員やビルの警備員など一部の方が、補助犬法や障害者差別解消法を十分に理解していないことで補助犬ユーザーを拒否してしまうことがあるため、施設関係者全体への周知が必要です。
  • ただし、補助犬や補助犬ユーザーに対する理解が進んでいる場所(職場やテナント)・地域であれば、あえて周知をする必要がない場合もあります。

施設関係者の例

  • 施設管理者(施設管理責任者、バリアフリー担当者)
  • 他企業従業員
  • インフォメーションスタッフ
  • 警備員
  • 駐車場管理スタッフ
  • 清掃員 など

※職場のある施設が複合商業施設の場合、「補助犬ユーザー受け入れガイドブック(複合商業施設編)」も合わせてご利用ください。

複合商業施設編(ガイドブック) QRコード
【イラスト】複合商業施設編ガイドブック表紙

複合商業施設編(パンフレット)QRコード
【イラスト】複合商業施設編パンフレット表紙

4.教育資料の準備(配布・掲示)

  • 「厚生労働省リーフレット「もっと知ってほじょ犬」(添付資料2, p.55)」は、補助犬や補助犬ユーザー、補助犬法についてまとめてあるハンドブックです。補助犬ユーザーの受け入れを従業員や施設関係者に周知するために配布して使用することができます。本ハンドブックは、都道府県・政令指定都市・中核市の身体障害者補助犬法担当窓口(p.58)で配布しています。お近くの担当窓口にご連絡ください。
  • スタッフの教育資料(参考資料3, p.56)」は、従業員の補助犬の利用を他の従業員に周知するためにまとめられた教育資料のサンプルです。データをダウンロードしてご利用下さい。
  • 動画資料

以下の2つの動画で職場を含めたさまざまな施設等での補助犬ユーザーの受け入れの様子が紹介されています。

動画1「まずは受け入れてみませんか?~補助犬使用者の受け入れ方」(事業者用)(日本補助犬情報センター監修・24時間テレビチャリティー委員会制作著作)
9’08”で職場での補助犬の利用の様子が紹介されています。URL:https://www.youtube.com/watch?v=AD8u7d_tszk&feature=youtu.be QRコード

動画2「補助犬啓発動画「どこでも行こう!補助犬たちとのインクルージブな社会」(日本補助犬情報センター監修・24時間テレビチャリティー委員会制作著作)
14’59”、33’58”で職場での補助犬の利用の様子が紹介されています。URL:https://www.youtube.com/watch?v=gplaume2fJk QRコード

  • 建物への啓発ステッカーの貼付

「補助犬啓発ステッカー」は、補助犬法に基づき補助犬の同伴を積極的に受け入れていることを示すステッカーです。本来、補助犬ユーザーは一般の人が利用できる場所はどこでも利用可能ですが、このようなステッカーがあることで従業員や他の施設利用者にも補助犬の同伴を周知することにつながります。ステッカーは都道府県・政令指定都市・中核市の身体障害者補助犬法担当窓口(p.58)で入手可能です。
【イラスト】店舗の入り口に補助犬啓発ステッカーが貼られている

5.スタッフ教育資料の配布と教育

  • 準備した教育資料(参考資料2,3(p.55, 56))をスタッフに配布します。
  • 補助犬に関する情報が限られている場合、受け入れを不安に思うスタッフが存在すると考えられます。特に、「補助犬とペットの違い」や「補助犬ユーザーへの対応」について強調することで、多くの不安を解消することができます。

6.勉強会・研修会

  • 職場での補助犬の使用について定期的に研修会・勉強会を開くことも有効です(p.40)。
  • 勉強会では、視覚に障害のある人の誘導、車椅子を使用している人の介助方法など、障害のある人に合わせた接遇方法、施設を利用する他の人への周知方法やトラブルへの対応(p.19,48)についても取り上げると良いでしょう。
  • 勉強会や研修会は、補助犬ユーザーを招いたり、専門の機関(例:p.61)に研修を依頼することができます。
4-2.様々な場面における受け入れ

(1)全体に共通すること

補助犬ユーザーは、他の人に接するのと同じように「自然に接してもらうことが一番嬉しい」と言うことが多いです。次頁以降に示すように、それぞれの障害のある人に配慮した接し方を心がけた上で、障害の有無にかかわらず、人それぞれのニーズをふまえて対応することが、結果として補助犬ユーザーのスムーズな受け入れにつながります。

  • 補助犬ユーザーへの対応
    • 補助犬ユーザーへの接し方は、それぞれの障害のある人への応対姿勢ができていることが基本となります。
  • 補助犬への対応
    • 補助犬の管理は基本的に補助犬ユーザー自身が行います。そのため、基本的に補助犬に対して求められる特別な対応はありません。なお、障害の内容によっては、サポートが必要になる場合があります。サポートの内容については、補助犬使用者と相談していただけますと幸いです。
    • 補助犬は補助犬ユーザーの指示がとても大切なので、補助犬に対して話しかける、じっと見つめる、触る等の気を引く行動は避けましょう。
    • 補助犬を同伴していても、サポートを必要とする場面があります。もし、お困りの様子を見かけたら、補助犬ユーザーへの積極的な声かけをお願いします。
  • まずは声かけから―「何かお手伝いしましょうか?」
    • 補助犬ユーザーや障害のある人に、お困りの様子が見られたら、「何かお手伝いしましょうか」と声かけします。
    • 声かけの際は、本人に声をかけ、「どのようにお手伝いすればよろしいですか」と尋ねて、お願いされたことをサポートすることが適切です。

①盲導犬ユーザー・視覚に障害のある人への対応 

盲導犬は視覚に障害のある人の安全な歩行をサポートしていますが、目的地までの道のりは盲導犬ユーザーが把握しています。段差や曲がり角、障害物への盲導犬のサポートを手掛かりに、その都度、盲導犬ユーザーが盲導犬に進む方向について指示を出しながら歩行しています。そのため、盲導犬ユーザーが道のりを把握していない場所(新しい場所)では、盲導犬に進むべき方向を伝えることができません。そのため、盲導犬を連れていても、普段使用していない職場スペースへの移動など、職場において誘導のサポートを必要とすることもあります。お手伝いが必要かどうかは、ご本人に確認しましょう。

  • コミュニケーション/情報提供
    • 文字を読む際には、点字、拡大文字、白黒反転、読み上げなどを使います。
    • 画面を拡大したり、音声で読み上げたりする機能を使ってスマートフォンやパソコンを使いこなしている人もいます。
    • 文字情報を伝える際は、どのような方法による情報提供(共有)が適切か、ご本人に確認すると良いでしょう。
    • モノの位置や方向を説明する際には、時計の文字盤に例えて説明(クロックポジション)すると分かりやすいでしょう。(例:3時の方向にベンチがあります)
  • 視覚に障害のある人の誘導
    • 誘導するときは
    • いきなり声をかけずに、まずは自分がだれかを名乗るようにしましょう。例)「スタッフの〇〇ですが、お手伝いしましょうか?」
    • どのように誘導すればよいか確認します。
  • 誘導のポイント
    • 介助者は視覚に障害のある人の半歩前に立つ
    • 肘や肩などにつかまってもらうか、声で誘導する
    • 案内する場合に「あちら、こちら」「もう少し、もうちょっとで」といったあいまいな表現は避け、具体的な言葉で案内する。例)「右に曲がります」「前へ1歩進んでください」「昇りの階段です」
    • 狭い場所を通る際は、あらかじめ狭くなることを伝え、視覚に障害のある人が後方に一列に並べるように、肘を後ろに移動させるか、肘から背中につかまる手を移動させる。
  • やってはいけないこと
    • 腕を引っ張ったり、背中を押す
    • 盲導犬のハーネスや白杖を引く

【イラスト】盲導犬ユーザーに肘を貸して誘導する様子。盲導犬のハーネスや白杖には触らない。

②介助犬ユーザー・肢体不自由のある人への対応

落としたものを拾う、小さな段差を越えるなど、介助犬が補助できる動作もありますが、人のサポートが必要になる場合もあります。車椅子を利用する介助犬ユーザーの場合、車椅子の援助が必要になる場合もあります。お手伝いが必要であると思われる場面では、何かできることがあるかお声かけすると良いでしょう。

  • 肢体不自由のある人の誘導
    • 職場内の移動の際は、必要に応じて段差がないところを選びます。車椅子を使用している場合は、エレベーターや車椅子対応エスカレーターのあるルートを設定します。
    • トイレは車椅子専用以外にも、手すりがあり、少し広めの洋式トイレであれば、杖歩行の方や一部の車椅子を使用している人でも利用可能です。オストメイト対応の有無や手すりの位置(写真)など、必要なトイレの設備は人それぞれです。

 【写真】バリアフリートイレの写真。オストメイト対応の洗面台や手すりなどがある。 

  • 車椅子を使用している人の介助のポイント
    • 急に押さずに声かけをしてから、ゆっくり歩きだす
    • 段差や凸凹のある地面に注意して、ゆっくりめに押す
    • 急な下り坂は後ろ向きで進む
    • 移動時以外はブレーキをかける
  • 小さな段差の移動(登り)
    1. ティッピングレバー(介助者の足元にある、前輪を浮かせる際に踏み込む部分。このレバーのない車椅子もあります)を踏みながら、ハンドルを押し下げて前輪を上げる
    2. その状態で前輪を段差に乗せる
    3. 後ろのタイヤを段差に付けて乗り上げるように車椅子を押す

【イラスト】介助犬ユーザーの車いすを押して段差を乗り越える様子

③聴導犬ユーザー・聴覚に障害のある人への対応

聴導犬はインターフォンや火災報知機などの音を知らせることはできますが、館内放送や人の会話の内容を伝えることはできません。音声のみの案内で、聴覚に障害のある人に情報が伝わっていない可能性がある際は、ご本人に情報を伝えると良いでしょう。

  • 聴覚に障害のある人との会話
    • 声をかけるときの方法(例)
    • 手話

      手話ができなくても、身振りや数字などを指で表すだけでも、聴覚に障害のある人とのコミュニケーションの助けになります。

    • 筆談・筆談器
    • 口話

      口をはっきりあけてゆっくり話すことで意志の疎通ができる場合もあります。このとき、聴覚に障害のある人は相手の唇の動きを読み取るので、下を向いて話したり、マスクや手で口を覆わないようにします※。※感染症などの懸念がある場合はマスク着用の上で、上記の筆談器などを活用しましょう。

    • スマートフォンやタブレット端末などの機器の利用

      スマートフォンやタブレット端末で文字入力したり、UDトーク※などの音声認識ソフトをインストールしている場合は、スマートフォンに向かって話すことで、話した内容が文字になって画面に表示されます。どのような方法で伝えるとよいかは、ご本人に確認しましょう。

※コミュニケーションの「UD = ユニバーサルデザイン」を支援するためのアプリ

【イラスト】筆談をしながら、口をはっきり開けて聴導犬ユーザーに話しかけている様子。スマートフォンを利用して、文字で聴覚障害者と話をしている様子。

(2)補助犬の同伴区域

  • 同伴区域の基本原則

    一般の従業員が入ることのできる場所は、補助犬の同伴を受け入れることが原則です。

  • 同伴を制限することが妥当とみなされる区域
    • エアシャワーの利用やクリーンウェアの着用等を求められるクリーンルーム、飲食業の場合は調理場(※)などが、補助犬の同伴に制限が設けられることが妥当であるとみなされる区域です。※調理を行う場のみのことであり、飲食店への補助犬の同伴を制限するものではありません。
  • 同伴について検討が必要な区域や場面
    • 騒音の激しい作業場など、犬の健康管理上、補助犬ユーザーが同伴を希望しない区域があります。

<ポイント!>

従業員が利用できるにも関わらず、補助犬の同伴を禁止する場合は、やむを得ない理由を明確に示しましょう。正当な理由なしに補助犬の同伴を拒否することはできません。

(3)土足禁止の場所

  • 補助犬ユーザーは、靴を脱いで入るような場所では、持参したタオル等で補助犬の足を綺麗にします。汚れた足で床を汚すことはありませんので、ご安心ください。
  • 犬の足拭きにサポートが必要な補助犬ユーザーもいます。「足を拭きましょうか?」というようなお声かけをしていただけると助かります。

(3)補助犬を同伴できない区域・場面

補助犬を同伴することができない区域や場面では、補助犬ユーザーが補助犬の扱いを事前に検討する必要があります。

  • やむを得ない理由により同伴が制限される区域については、あらかじめ補助犬ユーザーに説明します。
  • 犬を待機させる場所があるか、どのような場所かなどを補助犬ユーザーに伝え、区域ごとの対応を予め定めておくことが適切です。例)安全の確保された場所で、ソフトケージの中で待機させる

【写真】ソフトケージの中で待機する介助犬。写真提供:社会福祉法人日本介助犬協会

5.職場への受け入れ事例

(1)企業における取り組み 

『株式会社セールスフォース・ジャパン』

ウェルビーイングスペシャリスト(ヘルスキーパー)として入職した盲導犬ユーザーさんの受け入れ事例についてお話を伺いました。

【写真】椅子に座り盲導犬に微笑みかけるユーザー。

話し手:人事スタッフ、盲導犬ユーザー

Q. 盲導犬の同伴について、「不安」に感じた点はありましたか?

A.(人事スタッフ(以下、人事)) 会社で大切にしている価値観(コアバリュー)の一つに「イノベーション」があり、新しいことにチャレンジするという企業カルチャー(文化)が根付いている。日本法人では盲導犬ユーザーを受け入れる上での知見がないという状態だったが、まずは「やってみよう」というところからスタートした。

Q. 事前に準備したことはありますか?

A. (人事)100%の完成形を求めるのではなく、まずは60%でも70%でも良いので挑戦してみて、そこから実践を通じて得られた課題やフィードバックを通じてアップデートしていこうという企業風土がある。その中で、本人の状況やリクエストを聞きながらスタートした。

A.(盲導犬ユーザー(以下、ユーザー))面接、その後のやり取りの中で感じたのは、セールスフォースでは「どういった点が困るだろう」、「どういった点がよくないだろう」を考えるよりも、「どうやったらできるだろう」、「どうやったら進んでいけるだろう」という考え方が土壌としてあること。前職で盲導犬を導入してもらった時も、とても協力してもらい、働きやすい環境だった。ただセールスフォースでは、いい意味でのカルチャーショックを感じた。例えば、以前の職場では、盲導犬(ユーザー)が使うエレベーターや食事をする場所が指定されていた。それでも有難いと思っていたが、セールスフォースでまったく考え方が違っていた。どうやったら盲導犬が快適にいられるか、ユーザーが快適に働けるかを重視して様々なことを調整してもらったり、ユーザーにいろいろなことを聞いてもらったりした。受け入れの担当者は不安もあったかもしれないが、ユーザーにそれを感じさせず、いろいろとできる方法を考えてくれていた。

Q.(盲導犬を同伴する上で)ユーザーさんから会社にリクエストしたことはありますか?

A. (ユーザー)前職でどのように対応してもらっていたかをお伝えした。すると、「こんなこともできるよ」と逆に提案してもらった。例えば、盲導犬が待機する場所について、前職ではケージを持っていきその中で盲導犬が待機していた。セールスフォースでは「(待機場所は)足元が良いかな?」、「そうすると人が通ったときに盲導犬が気になるから、静かな場所でケージの方が良いかな?」と色々なことを考えてくれた。私が特別にリクエストしたというよりも、色んな提案を逆にしてもらい、「それだと嬉しいです」という形で私がついていった感じだった。

Q. 盲導犬の同伴について、ハード面で工夫した点はありますか?

A. (ユーザー)日本盲導犬協会によって訓練された盲導犬は袋の中で排泄できるので、多目的トイレを使わせてもらっている。セールスフォースのオフィスでは多目的トイレを利用するときに環境が変わるので犬がわかりやすいように、小さめの人工芝を多目的トイレに置かせてもらうようビル(管理者)に調整してもらった。ハード面というよりも、ソフト面として、担当の人だけではなく、社風としての温かさ、社員一人ひとりが盲導犬も社員の一員となったというセールフォースとしての誇りを持つような雰囲気があった。
(人事)弊社の5つのコアバリューの中に平等(イクオリティ)がある。「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである」という信念のもと、事業活動を通じて世の中を良くし、不平等を解消していくために、従業員に対してボランティアを中心とした社会貢献活動を積極的に推奨している。ハード面での工夫という点については平等の価値観に基づき多様な価値観や特性を尊重し、それぞれに適した環境整備をしていくことが従業員のエンゲージメント向上に繋がっていると考える。

Q. 会社が入っているビルのオーナーからもスムーズに理解を得られましたか?

A.(人事)総務にビル管理会社やオーナーに交渉・調整を図ってもらった。都度リクエストをもとに関連するステークスホルダーを巻き込み改善を図っていった。

Q. 「最初から100%を目指すのではなく、まずは挑戦してみる」ということでしたが、働き始めてから、更新されていったことはありますか?

A. (ユーザー)犬好きな人が多いと、触りたい、遠巻きで盲導犬を見ているということがあった。そこで、盲導犬協会の担当の方にも確認して、待機しているときには他の人が触れ合ったりすることができるということになった。注意書きをデスクのところに貼って、仕事の間や休憩したい犬好きな方は、そこを通った時に撫でたりしてもらっている。そのようなこともあり、盲導犬のおかげで近くで働いている人だけではなく、普通は言葉を交わさないような部署の違う方とも、犬を介して話すことができたのは、私自身としても働きやすさにつながっている。セールスフォースも盲導犬も社員の一員だからと、このようなことに理解を示してくれた。全盲だと人が声をかけてくれたり、話しかけてくれる以外は、一人ぼっちでいるのと同じ。どれだけニコニコとほほ笑んで見守ってもらっていても私にはまったくわからないので、盲導犬を介して声をかけてもらったり、知り合いになれることは、視覚障害者として働いている上で嬉しさであり、喜びだと感じた。

Q.盲導犬ユーザーさんが働き始めたときに、従業員向けに周知はされましたか?

A. (人事)いくつかの方法で従業員に対して認知を高めているが、具体的な事例は2つある。セールフォースではエンプロイーリソースグループと呼ばれる様々な特性を持った従業員を支援しようという従業員コミュニティがある。その中にAbilityforce(アビリティフォース)という障害のある方について学び、支援するコミュニティがある。そのコミュニティが開催するイベントで、盲導犬ユーザー自身に、仕事をする上でどういった課題に直面しているか、どういったことをやっているかを語ってもらい、社内の認知度を高めてきた。また、年に一回ファミリーデイといってオフィスに従業員の家族にきてもらうイベントを実施しており、従業員のみならずその家族も含めて、盲導犬と触れ合うような場を設けて、理解を深められるようにしている。

Q. 補助犬の同伴を受け入れる他の企業へのメッセージをお願いします。

A. (ユーザー)補助犬ユーザーを特別視しないことが大事だと思う。盲導犬ユーザー、 視覚障害者、他の障害を抱えている人もそうでない人もすべて同じ。セールスフォースに入社して一番感動したことがある。それは入社してすぐに行われた避難訓練の出来事だった。前職でも避難訓練はあったが、視覚障害があると階段を降りていくのは危ないので参加しなくて良いといわれていた。その時は会社が私を「大切に考えてくれている」と感じていたが、セールスフォースでは私も盲導犬も一緒に避難訓練に参加するのが当たり前という考えだった。練習をしてなかったら実際に災害が起こったときに逃げ遅れてしまう、という考えのもと参加させてもらった。実際に1回目はうまくいったが、1回目にハーネスをつけて何百段もの階段を誘導して降りて疲れてしまったためか、2回目は盲導犬が降りるのを嫌がってしまった。そこで、周りの人や人事の人が解決策を本気になっていろいろ考えてくれた。私も盲導犬協会に問い合わせて相談した結果、ハーネスではなく、見える人がリードを使って盲導犬と一緒に階段を降りたところ、下まで降りることができた。私は周りの人に手引きをしてもらって降りることに落ち着いた。そのときに何が嬉しかったかというと「特別扱いをされなかった」ということだった。
これから盲導犬ユーザーを受け入れようという企業の方には、特別視をしたり、「こんなことが起きたらどうしよう」と心配するのではなく、すでに導入している企業に聞いたり、見学してみたりしてはどうか。そうすることで、頭の中で想像するだけでなく、実際に受け入れるために必要なことがわかるのではないかと思う。
(人事)多様な人材、価値観を受け入れ、そういったメンバーがやりがい、働きがいを持って働く環境を整備することが、従業員のエンゲージメントやパフォーマンスにも直結する。ひいては会社の業績や競争力の源泉にもなると考えている。まずは完璧を求めるのではなく、できるところからやって、そこから改善を加えていく、アップデートをしていくことが大切だと思う。

(2)日本補助犬情報センター対応事例

① リコージャパン株式会社

介助犬ユーザーA氏 転職活動開始

ユーザー:面接時に説明 ※身体障害者補助犬法に関する資料を提出

会社:会社として検討。採用の方向で、社員研修等必要な作業の検討を開始

ユーザー:補助犬に関する情報機関(日本介助犬情報センター)へ相談。説明時や研修時に使える資料送付。会社へ提出。 

会社:採用決定→具体的に受け入れに必要な準備を始める

①社員向け説明会(補助犬法説明、アレルギー等への対処など。特に反対意見もなく終了)およびアンケート調査を実施

②オフィスが入るビル全体の管理会社への説明と打ち合わせ(若干の導線調整が必要だった)

③ビル内における多機能トイレと補助犬の排泄をさせて良い場所(基本的にペットシーツの上で排泄するので、床を汚すことはありません。)の確認 (※ユーザーとともに)

無事に採用決定。社内報や企業のSNS等でも紹介され、毎年、地方出張へ行った際には、多くの社員から声をかけられるほどの有名人に。アレルギーがある社員は事前の説明会で「アレルゲンがフケと唾液である」ことを理解し、むやみに近寄らないようにすることで、特に問題は起こっていない。(アレルギーがあると自己申告している社員の中には、「本介助犬だけは大丈夫」と言って、癒やされに来ることもある。)近年、就職活動時に「ダイバーシティの取り組みとして介助犬ユーザーの採用」に関して触れる学生も現れた。現在、勤続○年目。今となっては、介助犬は社内のアイドル的存在です。

【写真】デスクでパソコン作業をするユーザーに従業員が話しかけている。介助犬は足元に伏せている。「※勤務中は足元で大人しく待機できます」

【写真】社員証をつけてもらう介助犬 写真提供:リコージャパン株式会社

参照:【なるほど!リコージャパン】介助犬ユーザーさんが入社しました 

【なるほど!リコージャパン】介助犬ラッキーくんに社員証を貸与 

② 大手機器メーカー 支社

盲導犬ユーザーB氏 一般就労中、疾病により視力が低下

白杖での生活を始めるが、通勤途中のリスクを感じるようになり、盲導犬との生活を希望。

会社+ユーザー:盲導犬同伴通勤の導入に向けての話し合いを実施検討

盲導犬導入を決め、盲導犬訓練施設での4週間の入所訓練を経て、盲導犬同伴に寄る職場復帰に向けて、職場の受け入れ準備スタート

会社:人事担当者と産業医が、盲導犬訓練事業者から説明を受け、社員説明会向け資料を作成

産業医(会社):社員向け説明会を実施。事前アンケートも含め、社員からの質問にも対応。大きな混乱なく終了。

ユーザー&盲導犬 伴っての職場復帰訓練に向けた直前訓練を実施

<訓練事業者によるフォローアップ>

  • 通勤ルートの歩行指導
  • 職場内での盲導犬の待機場所についてのアドバイス
  • 盲導犬の排泄場所についてのアドバイス
  • 事業所からの相談等への対応・社内研修の実施 等

会社+ユーザー:実際の勤務生活を始めてから、課題が見つかり改善に向けての対話。例)盲導犬の排泄のタイミングがずれ、社内の多機能トイレではしてくれなくなるというハプニングが発生。帰宅時間が遅れるため、排泄場所に関して検討を重ねる。犬の好みとして屋外での排泄を希望するが、会社として適切な場所の指定ができなかったため、ベランダスペースに双方が納得できる場所を確保。夜間利用のためのライトを取り付ける。(※このように、予期せぬハプニングがあっても、双方で話し合い、相互理解の上での解決策を探すことが重要。)
会社+ユーザーより、補助犬に関する情報機関(日本補助犬情報センター)へ相談があり、ヒアリング実施。盲導犬の排泄場所問題のみでなく、普段の些細な気がかりや不安な点などを聞き出すことができたので、双方の安心安全が向上するための、施設のインクルーシブデザインに関するアドバイスを実施。就労現場にある課題や不安は、実は補助犬に関わるものは少なく、UD(ユニバーサルデザイン)やコミュニケーションに関わる問題が大半なので、情報機関や自治体窓口等の第三者機関が間に入ることで、相互理解が進み解決することが多い。

5-2.問題とその対処 

1.補助犬の尻尾や足先が通路にはみ出ている
伏せている補助犬の尻尾や足先が通路にはみ出ていたら、他の従業員が通路を移動する際に、誤って踏んでしまうかもしれません。そのような場合は、補助犬ユーザーに伝えて補助犬の位置を調整してもらいます。
【イラスト】通路にはみ出している補助犬のしっぽを踏みそうになる人
2.同じ建物を利用する他の企業からの問い合わせ
職場での補助犬の利用について、犬の受け入れに否定的な意見(例:「なぜ犬がいるのか?」「犬を建物にいれてはいけない」)が他の企業からあった場合、職場での補助犬の利用は義務(努力義務)であること、衛生・健康・行動管理が徹底されており安全な存在であることの説明をします。犬アレルギーや犬嫌いなどの場合は、補助犬ユーザーと該当する方が近づきすぎないように距離をとるなど、お互いが配慮するなどの工夫をします。これらの対応を行っても解決せず、トラブルに発展しそうな場合は、身体障害者補助犬法担当窓口(p.58)に問い合わせることも可能です。第三者からの説明により他の企業の方が納得する場合もあります。
3.補助犬(補助犬ユーザー)による迷惑行為
補助犬の同伴について、補助犬法では「身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生し、又は当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は、この限りではない。」としています。万が一、補助犬や補助犬ユーザーに相応しくない行動や様子が見られた場合は、その理由を明確に補助犬ユーザーに伝え、同伴を認められないことを伝えます。例えば、補助犬とされる犬が激しく吠えている、犬から悪臭がする、人に飛びついたり※物を噛むなど、補助犬ユーザーが犬の行動を管理できていないなどがその例です。※聴導犬は音を知らせるために、人の太ももに両手をかける行動をとることがあります。これは補助作業の一部であり、興奮による人への飛びつきではありません。
4.職場での補助犬の利用に関して補助犬ユーザーとの間に意見の相違があったとき
他の従業員が利用できる場所では、補助犬の同伴を受け入れることが原則です。ただし、犬アレルギーや犬に恐怖症のある従業員がいる場合などには、両者への配慮から、配慮が必要な人と補助犬ユーザーの両方(またはそのどちらか)が席を移動するなど、相手を理解してお互いを尊重した対応が求められる場面も出てくる可能性があります。この場合、その理由や対応を補助犬ユーザーと該当する他の従業員に伝えます。もし、事業主と補助犬ユーザー(該当する他の従業員)の考えに相違があり、お互いに妥協点が見つけられない場合は、身体障害者補助犬法担当窓口の利用も一つの方法として考えられます。 
5.排泄・嘔吐等によるトラブルへの対応
急に補助犬の体調が不良となったことなどが原因で、トラブルが起こる可能性はゼロではありません。汚物は、迅速に補助犬ユーザーまたは補助犬ユーザーに依頼された人が片付けます。補助犬ユーザーが(特に盲導犬ユーザーが)排泄や嘔吐等に気がついていない場合には、注意を促し、適宜援助します。

5-3.補助犬ユーザーの経験・声

事例1 ~職場での気遣い~
“オフィスでは皆さんとてもよくしてくださいます。盲導犬の様子を気遣ってくださり、体調を崩して床を汚してしまった時にすぐに手伝ってくださったりと本当に親切にして頂いています。盲導犬の存在も皆さんの癒しになっているようです。”
事例2 ~オフィス内の座席の工夫~
“介助犬を同伴することが決まってからは、介助犬(が待機するため)の机(スペース)も用意して頂き、席替えなどがある時は、まず介助犬と私の動線を最初に考えてくれます。(車椅子を使用し、介助犬と一緒に動くため、広めの動線を確保してもらっている。また、通り道にならない場所になっている。)”
事例3 ~補助犬ステッカー~
“職場に外からやってくる人が補助犬の存在に驚かないよう、会社が配慮して建物の入り口に補助犬ステッカーを貼付してくれていた。”
事例4 ~そっと支えてくださった方々~
“職場で行われる工事や敷地にある植木の伐採があるときは、業者の方に「盲導犬を利用している方がいるので配慮してください」と伝えてくれていた。また、仕事柄、職場に宿泊することがあるが、職場で過ごす時間が長くなることで多くなってしまったワンツー(トイレ)のごみを代わりに捨てておいてくれた。さらに、盲導犬の毛が落ちているところの掃除を丁寧にしてくれるなど、職場にいる様々な方がそっと支えてくださっていた。”
事例5 ~聴導犬も職場の仲間~
“大学で働いているのですが、新入生向けのオリエンテーションで配布される教職員紹介のしおりに私の聴導犬も載っています。職員と学生が作成するのですが、職員さんからは「一緒に働いている仲間ですから」という一言で載せてもらえました。教職員も学生も聴導犬を特別視している感じはなく、存在そのものをまるっと受け止めていただいています。入試監督をするときなど、聴導犬を置いてきたほうがよいかなという場面で、一人で集合場所に行くと、なぜ連れてきていないのか聞かれます。このようにさりげないサポートと言いますか、「いてもいいんだ」「いて当たり前」「いないと、どうした?」という感じの雰囲気が非常に心地よいです。”
事例6 ~会議終了後の懇親会のあとに~
“会社の本社ビルで行われた会議後に、イタリアンレストランにて会社主催の懇親会が開催されました。会議中は、足元にパートナー(盲導犬)がゴロリンと寝ていました。会議終了後、同僚とともに懇親会会場に移動し、懇親会に出席しました。懇親会終了後は、上司が駅まで見送ってくれて私が電車に乗ったことを見届けてくれました。私はひとりのサラリーマンとして気持ちよくその日を振り返りながら帰宅しました。”

6.補助犬同伴の受け入れQ&A

Q. ユーザーが仕事をしている間、誰が補助犬の面倒をみるの?
A. 補助犬の管理は基本的に補助犬ユーザー自身が行います。そのため、基本的に補助犬に対して求められる特別な対応はありません。ただし、障害の内容によっては、サポートが必要になる場合があります。サポートの内容については、補助犬使用者と相談していただけますと幸いです。ーザーが仕事をしている間、補助犬はユーザーの足元(机の下)やケージの中など指定の場所で待機して過ごします。待つことが得意な犬が補助犬として選ばれていることから、補助犬は落ち着いて寝て過ごしていることが多いです。

Q. 自社ビルではないので補助犬の受け入れを判断できないのだが…。
A. 不特定多数が利用する民間施設や一定規模以上の事業所では補助犬同伴の受け入れが義務付けられていることをビルオーナーや管理会社に伝えましょう。うまく伝えられるか不安な場合は、補助犬同伴に関するパンフレットを使用したり、都道府県・政令指定都市・中核市の身体障害者補助犬法担当窓口(p.58)や専門機関(p.61)に相談しても良いでしょう。

Q. 補助犬同伴のために改修が必要なのでは?
A. 補助犬の同伴のために、特別な改修の必要はありません。一方で、ユーザーの障害に適した設備を求める場合があります。例えば、車椅子を使用している場合、「段差がない」または「スロープがある」などを希望することもあるでしょう。しかし、ニーズは人それぞれです。どのようなニーズがあるか、本人に聞いてみるとよいでしょう。

Q. うちの職場は土足禁止なのだけれど、補助犬の足は汚いのでは?
A. 補助犬ユーザーは、靴を脱いで入るような場所では、持参したタオル等で補助犬の足を綺麗にします。汚れた足で床を汚すことはありませんので、ご安心ください。また、犬の足拭きにサポートが必要な補助犬ユーザーもいます。「足を拭きましょうか?」というようなお声かけをしていただけると助かります。

Q. 他の従業員とトラブルにならないようにするにはどうしたらよいか?
A. 他の従業員への事前の説明と確認がポイントです。補助犬は吠えたり、暴れたりしないこと、衛生管理が徹底されていることなど、補助犬の正しい情報を従業員に周知します。その上で、何か不安がないかを事前に確認するとよいでしょう。

Q.犬が苦手な従業員がいるのだが、補助犬の同伴を断ることは可能か?
A. ただ断るということは適切ではありません。補助犬ユーザーは補助犬の行動を管理しています。補助犬が咬む、飛びつく、吠えかかるというようなことはありませんので、一般の犬のように不安を抱えなくても大丈夫であることを知っていただくと良いでしょう。どうしても苦手な場合は、座席を離すなど両者が安心して過ごせる方法を共に検討してみましょう。

Q.職場で必要なサポートは他のスタッフが代わりにできるので、補助犬は自宅に留守番させたら良いのではないか?
A. 補助犬によるサポートは職場の中に限ったことではありません。通勤時に補助犬のサポートがあることで安心して職場に通うことができます。また、就業中も何かあれば補助犬がサポートしてくれるため、他のスタッフに気兼ねせずに仕事に集中することができます。さらに、仕事している間ずっと補助犬を自宅に待機させることは補助犬の管理や補助犬と使用者の信頼関係の観点からも好ましくありません。

Q. 補助犬を同伴する際に使用するエレベーターを荷物運搬用のエレベーターに限定しても良いか?
A. 補助犬の同伴を理由に利用できる場所を制限することは適切ではありません。他の従業員が利用できる場所は、補助犬を同伴して利用できることが基本となります。ただし、精密機器を扱うクリーンルームなど、従業員に対しても特別な衛生管理を求めるような場所については、補助犬の同伴を制限することは妥当であると考えられます。

参考資料

1.補助犬同伴受け入れを円滑にするためのチェックリスト

補助犬ユーザーと補助犬に関する知識の習得

  • 法令順守(コンプライアンス):補助犬法と障害者差別解消法
  • 補助犬と生活する補助犬ユーザー
  • 補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)の役割
  • 補助犬の安全性(衛生・健康・行動)
  • 補助犬とペットの違い
  • 障害に合わせた接遇

施設内のバリアフリーと設備

  • 施設内のバリア(段差や障害物など)の把握
  • 施設のスペース(通路の幅など)や設備の把握
  • 補助犬の排泄場所の検討

スタッフ教育

  • 補助犬ユーザーと補助犬に関する基本情報の案内(教育資料の配布)
  • 補助犬ユーザー、障害のある人の接遇に関する教育

職場(建物)に出入りする関係者(来客、他の企業など)への啓発

  • 補助犬啓発ステッカーの貼付
  • 周知資料の準備(厚生労働省リーフレット「もっと知ってほじょ犬」)

2.周知資料(厚生労働省リーフレット「もっと知ってほじょ犬」)

ポケットサイズのハンドブックです。都道府県・政令指定都市・中核市の身体障害者補助犬法担当窓口(p.58)で入手可能です。また、以下のURL・QRコードより、データをダウンロードすることができます。

厚生労働省ホームページ:
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 福祉・介護 > 障害者福祉 > 身体障害者補助犬 > 5広報物等 
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000636237.pdf QRコード 

3.従業員の教育資料

ダウンロード資料: QRコード 

職場での補助犬の利用について

身体障害者補助犬法、ならびに、障害者差別解消法に則り、補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)の利用を受け入れています。また、一定規模以上の事業所は補助犬同伴の受け入れが、補助犬法により義務付けられています(一定規模未満も努力義務となっています)。従業員の職場での補助犬の利用について、以下のポイントの把握をお願いします。
【イラスト】盲導犬ユーザー、介助犬ユーザー、聴導犬ユーザー

身体障害者補助犬は、身体障害のある方を補助するために法律に基づいて、訓練および認定された犬です。

衛生・健康・行動管理の配慮も十分になされた犬であり、安心して受け入れることが可能です。

補助犬を触ったり声をかけたり気を引いたりしてはいけません。

補助犬の管理は補助犬ユーザー自身が行うことになっており、他の従業員が行うことは基本的にありません。ただし、障害の障害の内容によっては、サポートが必要になる場合があります。サポートの内容については、補助犬使用者と相談していただけますと幸いです。

不安を感じることがある場合、総務課(担当窓口)までご連絡ください。

担当窓口
総務課 TEL:xx-xxxx-xxxx 

4.施設利用者への周知資料(ポスター)

ダウンロード資料: QRコード

法律により補助犬を同伴しての就労が認められています
イラスト】盲導犬ユーザー、介助犬ユーザー、聴導犬ユーザー
誰もが安心できる職場づくりのために皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます

  • 身体障害者補助犬(以下、補助犬)は、身体障害のある方を補助するために法律に基づいて、訓練および認定された犬です。
  • 衛生・健康・行動管理における配慮のなされた犬であり、安心して受け入れていただけます。
  • 当社/当ビルでも、補助犬を同伴しての就労を受け入れております。
  • 補助犬を見かけても、触ったり声をかけたり気を引いたりせず、そっと見守っていただきますようお願い申し上げます。
  • ご不安なことやご質問がございましたら、当社総務課(相談窓口)にお申し出くださいませ。

※ペットの同伴はお断りしております。補助犬はペットではありません。
〇△□株式会社 


6.身体障害者補助犬法担当窓口
都道府県身体障害者補助犬法担当窓口一覧 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 令和4年4月1日現在

都道府県 担当課名 担当係名 電話番号
北海道 障がい者保健福祉課 社会参加係 011-204-5278
青森県 障害福祉課 社会参加推進グループ 017-734-9309
岩手県 障がい保健福祉課 障がい福祉担当 019-629-5448
宮城県 障害福祉課 地域生活支援班 022-211-2541
秋田県 障害福祉課 地域生活支援班 018-860-1332
山形県 障がい福祉課 障がい者活躍・賃金向上推進室 023-630-2293
福島県 障がい福祉課 共生社会担当 024-521-7170
茨城県 障害福祉課 自立支援グループ 029-301-3363
栃木県 障害福祉課 社会参加促進担当 028-623-3053
群馬県 障害政策課 地域政策支援係 027-226-2638
埼玉県 障害者福祉推進課 社会参加推進・芸術文化担当 048-830-3309
千葉県 障害者福祉推進課 障害保健福祉推進班 043-223-2340
東京都 計画課 社会参加推進担当 03-5320-4147
神奈川県 障害福祉課 社会参加推進グループ 045-210-1111
新潟県 障害福祉課 地域生活支援係 025-280-5212
富山県 障害福祉課 地域生活支援係 076-444-3213
石川県 障害保健福祉課 地域生活支援グループ 076-225-1426
福井県 障がい福祉課 共生社会グループ 0776-20-0338
山梨県 障害福祉課 地域生活支援担当 055-223-1461
長野県 障がい者支援課 在宅支援係 026-235-7104
岐阜県 障害福祉課 社会参加推進係 058-272-8309
静岡県 障害福祉課 身体障害福祉班 054-221-2366
愛知県 障害福祉課 社会参加推進グループ 052-954-6697
三重県 障がい福祉課 社会参加班 059-224-2274
滋賀県 障害福祉課 社会活動係 077-528-3542
京都府 障害者支援課 スポーツ・文化芸術等社会活動推進係 075-414-4601
大阪府 障がい福祉室自立支援課 社会参加支援グループ 06-6941-0351
兵庫県 ユニバーサル推進課 社会参加支援班 078-362-4379
奈良県 障害福祉課 社会参加促進係 0742-27-8922
和歌山県 障害福祉課 在宅福祉班 073-441-2533
鳥取県 障がい福祉課 社会参加推進室情報アクセス担当 0857-26-7201
島根県 障がい福祉課 療育・相談支援グループ 0852-22-6527
岡山県 障害福祉課 福祉推進班 086-226-7362
広島県 障害者支援課 自立・就労グループ 082-513-3155
山口県 障害者支援課 社会参加推進班 083-933-2765
徳島県 障がい福祉課 社会参加・啓発担当 088-621-2238
香川県 障害福祉課 地域生活支援グループ 087-832-3292
愛媛県 障がい福祉課 在宅福祉係 089-912-2423
高知県 障害福祉課 地域生活支援担当 088-823-9634
福岡県 障がい福祉課 社会参加係 092-643-3264
佐賀県 障害福祉課 企画担当 0952-25-7401
長崎県 障害福祉課 地域福祉班 095-895-2453
熊本県 障がい者支援課 社会参加班 096-333-2235
大分県 障害者社会参加推進室 地域生活支援・芸術文化スポーツ推進班 097-506-2725
宮崎県 障がい福祉課 社会参加推進・管理担当 0985-32-4468
鹿児島県 障害者支援室 地域生活支援係 099-286-2746
沖縄県 障害福祉課 地域生活支援班 098-866-2190

政令指定都市身体障害者補助犬法担当窓口一覧
政令指定都市 担当課名 担当係名 電話番号
札幌市 障がい福祉課 事業管理係 011-211-2936
仙台市 障害企画課 社会参加係 022-214-8151
さいたま市 障害支援課 地域生活支援係 048-829-1308
千葉市 障害者自立支援課 企画班 043-245-5175
横浜市 障害自立支援課 福祉給付係 045-671-3891
川崎市 障害者社会参加・就労支援課 社会参加支援担当 044-200-2928
相模原市 高齢・障害者福祉課 障害福祉班 042-707-7055
新潟市 障がい福祉課 在宅福祉係 025-226-1239
静岡市 障害福祉企画課 企画管理係 054-221-1197
浜松市 障害保健福祉課 総務調整グループ 053-457-2034
名古屋市 障害企画課 福祉係 052-972-2587
京都市 障害保健福祉推進室 社会参加推進担当 075-222-4161
大阪市 障がい福祉課 06-6208-8071
堺市 障害施策推進課 社会参加・就労支援係 072-228-7818
神戸市 障害福祉課 調整係 078-322-6579
岡山市 障害福祉課 福祉係 086-803-1236
広島市 障害福祉課 082-504-2147
北九州市 障害福祉企画課 社会参加推進担当 093-582-2453
福岡市 障がい者支援課 差別解消・交流係 092-711-4985
熊本市 障がい保健福祉課 企画調整班 096-328-2519

中核市身体障害者補助犬法担当窓口一覧
中核市 担当課名 担当係名 電話番号
函館市 障がい保健福祉課 社会参加・事業担当 0138-21-3263
旭川市 障害福祉課 障害事業係 0166-25-6476
青森市 障がい者支援課 相談チーム 017-734-5319
八戸市 障がい福祉課 障がい福祉グループ 0178-43-9106
盛岡市 障がい福祉課 相談認定係 019-626-7508
秋田市 障がい福祉課 医療給付担当 018-888-5663
山形市 障がい福祉課 障がい福祉第一係 023-641-1212
福島市 障がい福祉課 障がい庶務係 024-525-3748
郡山市 障がい福祉課 管理係 024-924-2381
いわき市 障がい福祉課 支援係 0246-22-7485
水戸市 障害福祉課 認定係 029-350-8084
宇都宮市 障がい福祉課 福祉サービスグループ 028-632-2362
前橋市 障害福祉課 福祉サービス係 027-220-5711
高崎市 障害福祉課 給付担当 027-321-1245
川越市 障害福祉課 福祉サービス担当 049-224-5785
川口市 障害福祉課 支援第1・第2係 048-259-7926
越谷市 障害福祉課 総務担当 048-967-5137
船橋市 障害福祉課 相談支援係 047-436-2309
柏市 障害福祉課 事業調整担当 04-7167-1136
八王子市 障害者福祉課 042-620-7479
横須賀市 障害福祉課 046-822-9398
富山市 障害福祉課 障害福祉係 076-443-2056
金沢市 障害福祉課 企画庶務係 076-220-2289
福井市 障がい福祉課 企画係 0776-20-5435
甲府市 障がい福祉課 相談支援係 055-237-5339
長野市 障害福祉課 企画管理担当 026-224-5030
松本市 障がい福祉課 障がい福祉担当 0263-34-3212
岐阜市 障がい福祉課 指導係 058-214-2136
豊橋市 障害福祉課 0532-51-2354
岡崎市 障がい福祉課 障がい1係 0564-23-6867
一宮市 障害福祉課 障害福祉グループ 0586-85-7698
豊田市 障がい福祉課 総務担当 0565-34-6751
大津市 障害福祉課 管理係 077-528-2745
豊中市 障害福祉課 企画係 06-6858-2266
吹田市 障がい福祉室 給付担当 06-6384-1347
高槻市 福祉相談支援課 072-674-7171
枚方市 障害企画課 072-841-1152
八尾市 障がい福祉課 障がい福祉係 072-924-3838
寝屋川市 障害福祉課 総務係 072-838-0382
東大阪市 障害施策推進課 06-4309-3183
姫路市 障害福祉課 給付担当 079-221-2305
尼崎市 障害福祉課 障害者福祉担当 06-6489-6397
明石市 障害福祉課 障害者施策担当 078-918-5142
西宮市 生活支援課 0798-35-3157
奈良市 障がい福祉課 在宅支援係 0742-34-4593
和歌山市 障害者支援課 073-435-1060
鳥取市 障がい福祉課 障がい者福祉係 0857-30-8217
松江市 障がい者福祉課 障がい者政策係 0852-55-5304
倉敷市 障がい福祉課 086-426-3305
呉市 障害福祉課 給付グループ 0823-25-3135
福山市 障がい福祉課 企画管理担当 084-928-1062
下関市 障害者支援課 給付係 083-231-1917
高松市 障がい福祉課 生活支援係 087-839-2333
松山市 障がい福祉課 社会参加担当 089-948-6353
高知市 障がい福祉課 地域生活支援室 088-823-9378
久留米市 障害者福祉課 障害施策推進チーム 0942-30-9035
長崎市 障害福祉課 総務企画係 095-829-1141
佐世保市 障がい福祉課 庶務係 0956-24-1111
大分市 障害福祉課 097-537-5786
宮崎市 障がい福祉課 生活支援係 0985-25-2111
鹿児島市 障害福祉課 障害福祉係 099-216-1273
那覇市 障がい福祉課 企画・庶務グループ 098-862-3275

厚生労働省ホームページ:ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 福祉・介護 > 障害者福祉 > 身体障害者補助犬 > 1身体障害者補助犬情報 
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hojoken/index.html

7.団体リスト
特定非営利活動法人日本補助犬情報センター 〒223-0057
神奈川県横浜市港北区新羽町1688-1 ユームニューウィング203
https://www.jsdrc.jp/ 045-275-7770
認定特定非営利活動法人全国盲導犬施設連合会 〒162-0065東京都新宿区住吉町5−1 吉村ビル http://www.gd-rengokai.jp/ 03-5367-9770
一般社団法人日本身体障害者補助犬学会 〒162-0833 東京都新宿区箪笥町43 新神楽坂ビル2階 有限会社ビジョンブリッジ内 http://www.jssdr.net/ 03-5946-8848

8.参考・引用文献

  • 身体障害者補助犬受け入れ等相談対応マニュアル. 特定非営利活動法人日本介助犬アカデミー(現・日本補助犬情報センター).

9.関係法令

身体障害者補助犬法の概要(平成14年5月29日法律第49号)
〇施行日:平成14年10月1日 〇一部改正:平成19年12月5日

  • 法の目的と定義(第一章)

【目的】良質な補助犬の育成、補助犬使用者の施設利用の円滑化をもって、身体障害者の自立及び社会参加の促進に寄与する
【定義】〇盲導犬:道交法で定める盲導犬 〇介助犬:肢体不自由のある方のためにものの拾い上げ及び運搬等の肢体不自由を補う補助を行う犬 〇聴導犬:聴覚障害のある方にブザー音等を聞き分け、使用者に必要な情報を伝え、必要に応じ音源への誘導を行う犬

  • 訓練事業者の義務等(第二章)
    • 良質な補助犬の育成(適性のある犬の選択、獣医師等との連携確保、使用者に必要な補助の的確な把握)
    • 育成した補助犬の使用状況の調査、必要に応じた再訓練

→補助犬の訓練に関し必要な事項は省令で定める

  • 施行規則
    • 盲導犬の訓練基準(第一条)
    • 基礎訓練、歩行誘導訓練、合同訓練の実施 ・歩行誘導訓練は、使用予定者の評価に基づき策定された訓練計画により行うとともに、訓練犬との適合性の評価を早期に実施 ・専門的な知識を有する者等との連携の確保・協力 ・使用者からの定期的な報告と再訓練等の実施
    • 介助犬の訓練基準(第二条)
    • 基礎訓練、介助動作訓練、合同訓練の実施 ・介助動作訓練は、使用予定者の評価に基づき策定された訓練計画により行うとともに、訓練犬との適合性の評価を早期に実施 ・(その他、盲導犬と同様の規定)
    • 聴導犬の訓練基準(第三条)
    • 基礎訓練、聴導動作訓練、合同訓練の実施 ・聴導動作訓練は、使用予定者の評価に基づき策定された訓練計画により行うとともに、訓練犬との適合性の評価を早期に実施 ・(その他、盲導犬と同様の規定)
  • 使用者の義務等(第三章、第六章)
    • 身体障害者補助犬の行動の適切な管理 ・訓練を受けて認定された補助犬である旨の表示 ・獣医師の指導を受け、犬に愛情を持って接する ・衛生の確保(予防接種等)
      【参考】身体障碍者福祉法(報告の徴収等) ・都道府県知事(指定都市市長、中核市市長)は、必要があると認める時は、報告を求め、施設への立ち入り検査ができる。事業者が法律等に違反したときなどに事業の制限・停止を命ずることができる。
  • 施設の円滑な利用(第四章)
    • 国等、公共交通事業者等、不特定かつ多数の者が利用する施設において補助犬を同伴するのを拒んではならない ・法令で定める規模の民間企業における就業者が補助犬を同伴するのを拒んではならない(施行日:平成20年10月1日) ・民間住宅で補助犬を同伴するのを拒まないよう努めなければならない ※施設等を利用するものが著しい損害を受けるおそれがある場合、その他のやむを得ない理由がある場合は、この限りでない
  • 補助犬の認定(第五章)※盲導犬については、当分の間適用されない。 
    • 指定法人:厚生労働大臣が指定する補助犬の認定事務を行う法人(省令で定めるところにより、補助犬の種類ごとに補助犬の訓練または研究を目的とする一般社団、一般財団、社会福祉法人を指定)。身体障害者が同伴して他人に迷惑を及ぼさない等、適切な行動をとる能力があることの認定。認定した補助犬が能力を欠くこととなった場合の認定取り消し。
    • 厚生労働大臣の行う指定法人に対する改善命令、指定の取り消し、報告の徴収等を規定→その他、指定法人、補助犬の認定に関し、必要な事項は省令で定める
  • 施行規則 
    • 指定の基準(第七条)
    • 補助犬の種類ごと(介助犬、聴導犬に限る)に基準に適合している者。適正な法人運営、業務が適正に実施されている。必要な経理的な基礎を有していること。認定業務が不公平になるおそれがないこと。必要な知識経験等を有する者により構成された審査委員会を設置。苦情解決のための体制の整備。※別途、法人を指定する省令を定めている。
    • 認定の申請手続き・方法等(第八、九、十条) ・補助犬の認定を受けようとする者は申請書を指定法人に提出。訓練の記録、訓練計画、訓練を行ったもの及び専門的な知識を有する者による訓練の総合的評価。育成犬との適合状況に関する障害者の意見。 ・指定法人は認定を行うにあたり、書面による審査、実地の検証、実地の確認を実施。実地の検証、確認は審査委員会で実施。実地の検証、確認は障害者を同伴し、屋内や不特定多数の者が利用する施設等において実施。 ・指定法人は認定を行った補助犬の健康状態や基本動作・介助動作等の状況を障害者から定期的に報告を求める。
    • 厚生労働大臣への報告等(第九、十一、十二条)
      ・指定法人は補助犬の認定を行ったとき、認定を取り消したときは厚生労働大臣に報告。 ・指定法人は毎事業年度の事業計画書、収支予算書、事業報告書、収支決算書等を厚生労働大臣に提出。
  • 苦情相談窓口について(第七章)

障害者または施設の管理者は、補助犬の同伴または使用に関する苦情の申し立てをすることが出来る。 ・都道府県、指定都市、中核市における苦情窓口の設置(施行日:平成20年4月1日)

  • 補助犬法施行規則の施行通知(平成14年10月1日障害保健福祉部長通知)

補助犬の訓練については、省令に定める訓練基準に基づき行うとともに、以下についても指針として活用されるべきことを通知。盲導犬訓練基準(日盲社協盲導犬委員会策定、平成4年)※以降改定を加えている。介助犬訓練基準(「介助犬の訓練基準に関する検討会(厚労省)策定:平成14年」)。聴導犬訓練基準(「聴導犬の訓練基準に関する検討会(厚労省)策定:平成14年」)。 ・認定を行う法人の指定は、身体障害者更生援護施設を経営する社会福祉法人について適用されることが想定される。 ・介助犬、聴導犬の認定については、省令に基づき行うとともに、以下についても指針として活用されるべきことを通知。介助犬の認定要領。聴導犬の認定要領。「介助犬及び聴導犬の認定基準等に関する検討会」(厚労省策定:平成14年)。

(参考)盲導犬関連法等

  • 道路交通法(昭和35年6月25日法律第105号)

・(目が見えない者、幼児、高齢者等の保護)目が見えない者は道路を通行するときは、政令で定めるつえを携え、政令で定める盲導犬を連れていなければならない。

  • 道路交通法施行令 (目が見えない者等の保護)

盲導犬は、盲導犬の訓練を目的とする一般社団、一般財団、社会福祉法人で国家公安委員会が指定したものが、盲導犬として必要な訓練をした犬、必要な訓練を受けていると認めた犬とする。 ・指定手続き、必要な事項は国家公安委員会規則で定める。

  • 盲導犬の訓練を目的とする法人の指定に関する規則(指定の基準等)

盲導犬として必要な訓練をする業務、認定する業務の実施に関し適切な計画が定められていること。 ・訓練業務等を行う施設が、訓練士等として必要な知識、技能を有する者がおかれ、必要な設備を備えていること。 ・必要な経理的基礎を有すること。 ・訓練業務が不公平になるおそれがないこと。 (国家公安委員会への報告等) ・指定法人は・指定法人は毎事業年度の事業計画書、収支予算書、事業報告書、収支決算書等を国家公安委員会に提出。 ・国家公安委員会は必要があると認めたときは報告・資料の徴収を求めることができる。 (解任の勧告等) ・国家公安委員会が行う指定法人に対する役員等の解任勧告、改善の勧告、指定の取り消し等を規定。

【参考】盲導犬訓練基準等の策定・改訂の経緯 〇平成4年「盲導犬訓練施設設置運営基準」「盲導犬歩行指導計画基準」「盲導犬歩行指導員等養成基準」の3基準を策定。 〇平成10年 上記基準に「盲導犬訓練基準」「盲導犬訓練施設管理準則」の2基準を追加策定。 〇平成29年 5基準を3計画に改変・改訂「盲導犬訓練計画」「盲導犬歩行指導計画」「盲導犬歩行指導員養成計画」 ※訓練3計画のほかに「盲導犬認定計画」も策定されている。※上記の基準・計画は11の盲導犬育成施設が合意し、日盲社協盲導犬委員会で策定され、国家公安委員会に提出。

  • 盲導犬訓練計画(盲導犬育成基準)

・適正犬について身体・性質・動作・健康と管理の面から基準を規定 ・適正犬の供給・確保について、適任者の指導のもとに計画的に供給できるよう努めることを規定 ・盲導犬の訓練の内容を事項ごとに規定。①基礎訓練②歩道③道路の横断④障害物⑤横断歩道 等。また、訓練記録の保管、訓練時間、評価・指導も規定。

  • 盲導犬歩行指導計画(共同訓練基準)

・盲導犬を利用しようとする障害者(訓練生)への指導の計画・内容を規定。①訓練生の要件②入所選考③更生援護の計画④歩行訓練⑤盲導犬歩行指導カリキュラム⑥フォローアップ⑦盲導犬の引退時期⑧記録

  • 盲導犬歩行指導員等養成計画(訓練士資格基準)

・盲導犬歩行指導員や盲導犬訓練士の研修プログラムを規定

  • 盲導犬認定計画 ・認定の申請手続き、方法等について規定

※この手引きは、厚生労働科学研究「身体障害者補助犬使用希望者の訓練の効果測定のための研究」(2021年度~2022年度 課題番号:21GC2002)の成果物としてまとめたものです。
※この手引きは、クリエイティブ・コモンズ(CC BY-NC-ND 表示-非営利-改変禁止 )ライセンスの下でライセンスされています。

https://creativecommons.jp/licenses/ イラスト:NPO法人MAMIE

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